松田圭史

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熊本ではたらく、
総合診療医の姿。

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スーパードクターではなく、町の優しいお医者さんに

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小国公立病院 総合診療科松田 圭史 医師

プロフィール

熊本県球磨郡多良木町出身。熊本大学医学部医学科(地域枠)卒。熊本大学病院にて臨床研修(地域医療・総合診療特化コース)の後、3年目より公立玉名中央病院(現在のくまもと県北病院)、5年目より現在の小国公立病院に勤務。3〜5年目の熊本大学地域医療支援・総合診療後期研修プログラム(家庭医療専門医取得のための後期研修プログラム)を経て家庭医療専門医資格を取得。

小国町について

熊本県阿蘇地域の北端、大分県との県境にある町。
人口6,590人(2020年)、高齢化率42.10%(2020年、全国平均28.00%)。町内にある病院は1院、医院は2院、歯科は3院。(2021年11月)
※出典:日本医師会 地域医療情報サイト https://jmap.jp/

松田圭史

地元を支えるお医者さんを目指して

01総合診療医を目指し始めた
きっかけは?

 私が医師になろうと思った大きなきっかけは、中学から高校時代に、祖父が脳梗塞、胆管ガンに立て続けに罹患したことです。それまでも「一生勉強するなら、医学が面白そうだな」と漠然と思っていたのですが、「苦しんでいる人を治せる医者を目指そう」と明確な目標ができました。
 私の地元・球磨郡多良木町はいわゆる田舎町。一番に思い浮かぶ医師像は「地域のお医者さん」でしたし、将来は地元で医師として働きたいと考えていました。ですので、医学部に入るときから、地域医療に貢献したい、それならば総合診療医となるのがベストだろうと。とはいえ、私が学んでいたときはまだメジャーな選択肢ではなく、周りで目指している人もそう多くはいませんでした。
 しかし、初期研修で公立多良木病院・人吉医療センター・そよう病院・公立玉名中央病院(現在のくまもと県北病院)と、地域医療の拠点となる病院を回ったことで、地域医療の重要性と、地域における総合診療医の必要性を改めて実感。総合診療医として地域医療に従事することを心に決め、熊本大学地域医療支援・総合診療後期研修プログラムへと進みました。

天草市立新和病院
松田圭史

ニーズあるところに、総合診療医あり

02どのような地域で、
どのような診療を行っていますか?

 今(2022年1月時点)、私が勤める「小国公立病院」は、地域医療の拠点病院としては比較的小規模です。阿蘇郡小国町という、いわゆるへき地にあり、町内の診療所の数は少なく、周辺地域とのアクセスもよくありません。そのため、ある程度のことは完結させる必要があります。
 ここで総合診療医として働き始めて3年目。私は、いわゆる「かかりつけ医」的な存在です。患者さんの困りごとを聞いて、必要があれば専門診療科や他職種と連携しながら解決策を考えます。患者さんの状態は様々で、状況によって総合診療医の役割は変わり、臨機応変に対応します。院内で「総合診療医」は私だけですが、他科のドクターも長く地域医療に携わっているため、実質、総合診療的な診察経験も豊富で、頼りになる存在ですね。

松田圭史

すべてを診る、最期まで診ることの喜び

03総合診療医のやりがいは?

 総合診療医として地域で働く中で、「トータルで診ることができる」点に大きなやりがいを感じています。いわゆる「かかりつけ医」として、入院・外来、さらにはご自宅や入所された施設への往診などで、一人の人を長く診ることができます。その方の性格や生活、家族のことなどを少しずつ知り、距離が縮まり、信頼関係を築いていくことは、心が温まる経験です。「ずっと先生に診てもらいたい」という言葉をいただけるのは、とてもうれしいですね。中でも、地域医療ならではの「在宅看取り」は象徴的なシーンです。人が亡くなるのは悲しいことですが、どこか心晴れやかで、ご家族の笑顔も見られたりと、温かみのある雰囲気に包まれます。まさに「人生の卒業式」。総合診療医冥利に尽きるひとときです。
 一方で、「何にでも対応しないといけない」ことも、やりがいであり困難でもあります。どこまでが自分に対応できる範疇で、どこからが専門診療科や他職種に相談すべきか、その線引きはとても難しいです。だからこそ、普段から彼らと密に連携を取ってこまめにフィードバックしてもらえるよう努めています。当院の場合は退院前カンファレンスを、全例で全職種が集まって行うので、退院後のケアまで情報を共有しています。そういった人の繋がりを生かすことで、総合診療医としての困難に立ち向かえるのは、大変心強くうれしいことです。

松田圭史

医学“以外”での経験が、武器になる

04総合診療医に求められる力とは?

 日々働く中で実感しているのが、総合診療医に求められるのは「バランス力」だということ。患者さんの疾患や背景、考え方、家族の意見、看護師の意見、病院の状況、時間、自分の意見・状況など、様々な視点から物事を捉え、皆が納得できる最適解を導き出すことが求められるからです。そのためには、いろんな人とコミュニケーションを取ることで、多様な側面を持てるようになることが大事。これは医学以外の学びで身につくものです。部活やアルバイトなど、学内外でいろんな人の考え方を知る感覚を持つことで、物事を俯瞰で捉えることができるようになると思います。私自身も大学時代はサッカー部に所属し、キャプテンとして組織運営やマネジメントを経験したことが生きていると感じています。また、1つの分野に没入するというよりは、何にでも興味を持ってなんでも診てみたい、調べてみたい、というタイプの人は、総合診療医の仕事に喜びを感じられると思います。

松田圭史

地域医療の核として、これからニーズが高まる存在に

05今後の目標をお教えください。

 これからも個人としての診療能力の向上と、対応できる幅を広げていきたい。同時に、「まちづくり」や教育にも目を向けていきたいと思っています。
 私にとって視野を広げるきっかけとなったのが、小国町の医療福祉連携システム「小国郷医療福祉あんしんネットワーク」への参加です。これは、町内の医療・福祉・行政に関わる人が所属し、在宅医療や予防医学などについてフォーラムを開いて学び合ったり、在宅看取りや認知症対策などのチームをつくって取り組んだり、患者さんの医療情報を病院から施設、在宅へと共有して、よりよいサポートにつなげるネットワーク。総合診療医の仕事とマッチした活動内容でもあり、まちづくりの目線で医療をどのように町に溶け込ませるかといった視点を持つこともできました。
 この経験を生かし、地域医療が抱える課題の解決法の1つとして、そして熊本県全体の「医療システムとまちづくり」といった面まで取り組みを深めていければと思います。
 また、これから総合診療医を目指す人への教育の拡充や、総合診療医になりたい人をもっと増やすための活動も行っていきたいです。

 「スーパードクター」ではなく、「町の優しいお医者さん」になりたい。そんな憧れを持つ人こそ、総合診療医がオススメです。医学の知識に加えてコミュニケーション力、幅広い知的好奇心を生かし人間性を高めて、臨んでほしいです。
 熊本県をはじめ地域医療においては、領域別専門医だけが数多くいるよりも、総合診療医が数名いる方が医療がスムーズに回るというケースも増えると思います。そういう意味でも、熊本県に総合診療医がもっと増えてほしいと願っています。そして、地域医療の核として活躍したい、そんな人こそ総合診療医を目指してください。

LIFESTYLE

勤務日の1日の流れを教えてください。

一日の流れ 一日の流れ なるべく時間内に仕事を終わらせて、帰宅後は3歳と1歳の息子たちの育児や家事を頑張っています。
子育ては仕事と同じくらい大変です!

当直はどのくらい?

月に平日(17:00〜翌9:00)は3回、休日(9:00〜翌9:00)は1回程度です。

休日はどのように過ごしていますか?

基本的に、土日は休みです。たまに勉強会や学会が入ることがありますが、家事育児、家族サービスがメインです。
小国町はのんびりおおらかで、子育てしやすい環境ですね。